幼なじみと付き合った場合。
『もう、後戻りできないよ』


って言ってた、上月くんの言葉が頭の中で何度もこだまする。








後戻り…できない。


そうだよね…


そのぐらいのことを、伊織にしてきたんだ。


通路の端でボーッとしてたら、誰かに声をかけられた。







「…だよ。聞こえてる?」


ハッ!


我に返ると、


あたしの目の前にいたのは、朝野くんだった。


「ああっ!!」


「うわ、そんな驚く!?昨日は大変だったね…俺のせいでゴメン」


あたしはすぐに目を逸らし、大慌てで首を横に振る。


「ううん、朝野くんのせいじゃないし…」


「今から出発まで自由時間だからさ……ちょっと、外に出よう」


「…え…と。それは、あの……」


「いいから…」


強引に腕を引かれ、ズルズルと引きずられるように外に出ることに。


それを拒めないあたしは…


こんな状態の中でもまだ、優柔不断なんだと、


自覚せずには、いられなかった……。


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