幼なじみと付き合った場合。

「そう…なのかな……」

 
「うん。あたしが言うんだから、間違いない！あのね、伊織くんが来てくれた日…午前中、お母さんと一緒に病院に着いて行ったの」
 

「病院……に？」
 

「産婦人科。お腹のエコーを見せてもらって……赤ちゃんが動くのを…見た。

ずっと…あたしだけ家族になれないって思ってたけど…そうじゃないって、お母さんが言ってくれて……」

 
あたしはふと、松本さんのお母さんの優しい顔を思い出す。
 
 
 
 
 
「あたしに、妹が弟ができるんだよ……って。状況が変わると、役割も変化するんだって」

 

「役割が…変化するってどういうこと？」
 

「ずっとあたしは、家族が増えることで……お母さんがあたしを見てくれなくなるんじゃないかって心配してたけど、実はそうじゃないんだよね。

新しい命を…あたしとお母さんで、守らなきゃいけない。これから生まれてくる赤ちゃんのお姉さんになって、

妹か弟の面倒をみたい。だから、もっとしっかりしなきゃって思うようになった」
 

「お姉さん……」



その響きが、なんだか羨ましく聞こえた。



「みんな…ずっと同じままじゃいられないよね。越野さんも…そろそろ伊織くんの手を離れたら？」