戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
豊橋は鉄砲を下げ、そちらをにらみつける。
「何事だ!!」
「鳴海です!!鳴海が現れました……!!」
「なんだと!?」
鳴海?
意外な名前に、燃えた怒りが冷静に冷やされていく。
鳴海って、西条の国の剣術指南役の鳴海義貞?
敵軍は一瞬私の存在を忘れ、騒然となる。
そして、私は見た。
敵軍の後方から、白刃が閃きながら、こちらへ向かってくるのを。
なに、なんで?
戦場から姿を消していたはずの人間が、何故この状態のこの土地へ?
疑問は高まっていくばかりだった。
「崖へ逃げるぞ!!」
誰かがそう叫んだ。
その声は、意外に近くから聞こえた。
なんという速さ──。
呆気に取られて敵軍を眺めていると。
その中から、ひらりと青い一つの影が、崖の上に跳んだ。