☆咲川さんの恋愛事情☆
…でも、彼はからかうどころか、
バカにする素振りも見せずに、
ただ、こう言ってくれた。
「男って、確かにでかくていかついわ、声も低くて…まぁ、君にはまるで未知かもしんないけど」
「…へ?」
「そうだな。じゃあ俺が、そんな君の男友達第1号になってあげよう」
彼は、そう言って、右手を前に出した。
「そしたら、少しは男に免疫がつくかもしれない。
……よろしくね、ありさ」
「えっ…。あ…ぅ」
「ほらっ!ありさ!」
あたしは、何が起こっているのかわからないまま、詩織に即されて右手を出した。
──ギュッ
幼稚園……以来に握った男の子の手は…
とっても大きくて、あったかかった。