☆咲川さんの恋愛事情☆




いつの間にか、教室には俺たち3人しかいなくなってて…。



そろそろ帰ろうか、ってなった。





あいつ…遅いな。



どんだけ雑用させられてんだ。








「詩織、…帰ろ?今日は、せっかく早く終わるんだから、どっかで遊ぼってなったじゃん」


「えぇーっ!!でもぉ…。あたしの『大切な人』に会わせてあげるっ…て約束だったじゃん!」


「その人、いま忙しいんでしょ?いいよ、明日で。…帰ろ?」


「………わかった。明日、ぜーったい紹介するから!あたし、同じ高校に行きたすぎて、この高校来たんだから!!」


「はいはい。何回も聞いたよ」






二人は、会話をしながらドアの方へ向かっている。





俺は、そんな会話を聞き流しながら、机に頬ずえをついていた。




「あれ?越谷くん帰んないの?」


「ん?うん。友達、待ってて」


「えーっ!だったら、あたしも…「詩織っ!」




ぷー、と頬を膨らまして、詩織…って子の裾をつかんだ。




「早く、帰りたい」


「…はぁーい」





しぶしぶ、彼女はドアに向きなおす。





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