☆咲川さんの恋愛事情☆
竜也は、しばらく黙ったあと…また喋りだした。
「夏希ちゃん…偉いんだよ。俺が先生につかまって資料とじやらされるとき、『わたしもやります』…って…」
「…だから夏希も、この時間にまだこんなところにいたのか…」
…知ってる。
夏希はそーいうお人好しだって。
…よーく知ってるよ……。
──ガタンガタン
もう駅は見えない。
あいつも見えない。
でも、聞こえなかった彼女の“声”が、俺の頭でリピートする。
聞こえなくても…わかった。
『陽』
確かに、そう言ってたんだ。