☆咲川さんの恋愛事情☆
「じゃあ、出発するぞー」
先生がそう言って、バスは発車した。
あたしは、なんでかよくわからないけど…さっきより緊張はほぐれていた。
ホント、なんでなんだろうか。
でも今度は、ちょっと落ち着かないかな。
と…隣の越谷くんと…近い。
教室の座席と違って、椅子が密着してるから…
腕が当たりそうなくらい、近い。
うーん。
これは、違う意味で緊張してるのかな…あたし。
「ありさ」
「へっ!?」
「そんな固くならないで」
「う…ん?」
「大丈夫。とりあえず俺は、友達だろ?」
「……!」
越谷くんは、友達。
そうでした…。
緊張する必要なんて、ない存在なんだよね。
…あたし、いい加減なれなきゃ。