不細工なあたし
……よし、帰ろう。
あたしはバス停の方に歩き出す。
カラオケに行くメンバーの中に村瀬くんがいたかどうかはよく見えなかった。
…けど、楽しそうにしてたし、きっと行くんだろうな。
そう思ったら、なぜかチクリと胸が痛んだ。
バス停に着き、時刻表を確認すると、次のバスまであと10分ほどだった。
いつもならなんてことない待ち時間だけど、冬の夜、しかも一人きりで時間が過ぎるのをただ待つのはつらい。
そうは言っても、ひたすら寒さに耐えて待つしかないのだけど。
……あーあ、カイロ貼ってくればよかったな。
せめて、お腹か腰に1枚貼っていれば全然違うのに。
俯きながらそんなことを考えていたら、ふと腕をつつかれた。
「城崎さん」
穏やかな声にハッとして顔を上げる。
「え…、村瀬くん」
戸惑いながらも声の主の名を呼ぶと、彼は安堵したように笑った。