不細工なあたし
早紀は器用にあたしの髪をふんわりと巻いて、可愛いシュシュで顔の横でひとつにまとめてくれた。
普段あんまり結ばないから、なんか自分でも新鮮。
それに、髪型って結構人の印象変えるんだなって思った。
「いいじゃん!時間もそろそろだね。あ、バッグこれ貸したげる」
そう言って、早紀は小ぶりのバッグをクローゼットから取り出してきてくれた。
「コートは、いつものやつでいいと思うよ。あれミコに似合ってるし」
「分かった。何から何までほんとありがとう」
あたしがそう言うと、早紀は嬉しそうに笑った。
「いいって。とにかく、頑張るんだよ?ミコなら大丈夫だから」
「なんか、大袈裟じゃない?」
「いーのいーの。もうなんか、愛娘を嫁に出す気分だよー」
「あはは。じゃあ、行ってくる。本当、ありがとね」
「いってらっしゃーい!」
満面の笑みの早紀に見送られて、あたしは早紀の部屋を出た。
あたしはまず自分の部屋に戻り、借りたバッグに財布やら携帯やら必要な物を入れて、早紀が似合ってると言ってくれた自分のコートを羽織る。
いつもはヒールのある靴なんて履かない。
だけど、今日は靴箱の奥に眠っていた、勇気を出して買ったはいいが一度も履いていない、リボンの飾りのついた、少しヒールのある黒いブーツを履いた。
早紀は靴も貸してくれるって言っていたけど、多分サイズが合わないから断った。
……まさか、こんなかたちでこのブーツが役立つ日がこようとは。