matricaria
学校から家までの帰り道。

よくわからなかった自分の心に答えを見つけたのは案外早かった。

一人でオレンジの夕日色の道を歩く。

まだ少し残っている胸の痛みと、やけに冷静な頭の中。

怖いくらい落ち着いている頭は、繋がるのが当然というように1年生の時の図書室の会話を思い出していた。

『同じクラスに好きな子がいるんだ』

俯きながら呟いた水香ちゃん。

深く考えずに、何気なく聞いていた言葉。

パズルのピースが繋がったような感覚。

わたしは静かに確信する。

今これだけ冷静でいられるのは、今日の事だけで気づいたわけじゃないからかもしれない。

水香ちゃんの波ちゃんに対する態度を見ていたら、誰だって気づくと思う。

水香ちゃんは、波ちゃんのことが好きなんだ。

・・・・・・それからもうひとつ。

驚くほどにすっと、心も頭も受け入れた。






わたしも、波ちゃんのことが好きなんだ。
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