スイートポテト・フィロソフィア
「いや、天ぷらの食べ過ぎ。クロは平気なわけ?」


「いや、十分気持ち悪い。たぶん、明日の朝はお腹重い」


「俺も。味噌汁飲めば何とかなるかな」


「それ、二日酔いの時の話でしょ? むしろ、味噌汁は今欲しい」


「同感。黒烏龍茶なんかもあったよな。行くか」



立ち上がった景に続いて、あたしもイスを鳴らした。


荷物は置いたままだけど、まぁ大丈夫だろう。


みんな自分の食べるものに夢中で、他人の荷物になんて興味がないはずだ。



「スイートポテトにさつまいものタルトか。デザートも充実してるんだな」


「そうなんだよね。ここまでさつまいもをアピールしてくれるとこ、他にないんじゃないかな?
エビはいっぱいあるかもしれないけど」


「いや、エビもなかなかないのよ。好みのって。辛いの苦手だから、エビチリなんて見た日にはもう……な」


「辛いのダメとかお子様すぎるんじゃない?」


「クロと違って、俺の舌は繊細なの。辛さは適度に抑えられてるからいいんだよ」



繊細な舌の持ち主が、エビの天ぷらの大量摂取なんてしないと思うんだけど。


心の中の突っ込んでみるけど、景には伝わってるような気がしたから、敢えて声には出さなかった。



辿り着いたドリンクのコーナーで、景はお目当ての黒烏龍茶を注いでる。


あたしは、近くにあったホットコーヒーをカップに注いだ。



「クロ、コーヒーにするの?」


「烏龍茶も持ってくけどね。コーヒー飲むと、胃の中さっぱりしない?デザートに備えないと」


「やっぱ、容赦ねぇな」



呆れたようにそう言ってから、あたし達はポジションを変えて、また、黒烏龍茶とホットコーヒーを注いだ。

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