スイートポテト・フィロソフィア
◆potato

「景もさ、やっぱり思うわけ? 彼女がほしいとか」



何本目かわからないエビの天ぷらを掴む景に、何となく話しかける。



「まぁ、それなりに。残念ながら玉砕ばっかだけどな」


「へぇー。そういう話しないから、新鮮」



サークルの人たちがいる中でならする恋愛の話も、2人でいる時には絶対にしない。


それは、あたし達の中では暗黙の了解みたいなものだ。



「クロ、聞かれたことなら何でも答えるだろ?
何にも考えてないからだろうけど。筒抜けすぎて、改めて聞く気にもなんねぇんだよ」


「まぁ、確かにね」



20歳も過ぎれば、恋愛話の1つもないっていうのはなかなかイタい状態らしい。


景の言うように、今までの話が筒抜けすぎて、元から大した量もなかったあたしの恋愛ネタは品切れだ。



それを哀れに思った友達が、西園寺さんを紹介しようと決意してくれたらしい。


兄の友達だか何だかの西園寺さんは、あたしの1つ上の学年で、卒論に励むできた人だ。



「あ、気持ち悪くなってきた」



間違っても、景みたいにこんなセリフを吐くことなんてない人だ。



「どうしたの?」
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