猫が好き!


 おまえ呼ばわりを拒否したのに、未だにおまえ呼ばわりされているし、進弥のアピールにも真純のリアクションは冷めている。

 信用されていないのだから、当然な気もする。

——簡単に人を信じるな——

 それは自分自身に、言い聞かせている事だった。
 自分がそのせいで、結果的に社会からドロップアウトするハメになったから。

 三年前、ハルコの不正アクセスで、進弥は辺奈博士から挑戦状を叩きつけられた。


「本物のハルコに会いたかったら、ここまで来なさい」


 その言葉に煽られて、必ずそこまで行ってやると誓ったのだ。

 当時の進弥は、商業高校の二年生だった。

 ハルコに会うためには、辺奈商事に入社するしかない。

 大手総合商社である辺奈商事の、高卒者新卒枠は、かなり狭き門だった。
 大卒者も決して広くはない。
 おまけに新入社員は、希望通りの部署に、配属されるかどうかは分からない。

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