猫が好き!


 元々真純が住んでいた家のせいか、家内の主導権は真純が握っている。

 ということは、相変わらず、御主人様と飼い犬というところだろうか?

 抱きしめたりキスをしたりは、拒まれなくなった。
 だが半年経つというのに、一つ屋根の下に二人きりで住んでいるというのに、それ以上は何もないのだ。

 真純は益々ガードが堅くなったような気がする。

 改めて同居を開始した初日、真純は記憶をなくすほど泥酔した。
 それがよほど恥ずかしかったのか、以来彼女は決して深酒をしない。

 おまけに夜は、ちょっと目を離した隙に自室に引っ込んで、あろう事か施錠してしまうのだ。

 これでは手も足も出ない。

 なぜこんな事になっているかというと、進弥の失敗が原因だった。

 その日、翌日の休日出勤を真純に伝えるのを忘れていて、それを真夜中に思い出した。
 休日前なので真純も起きているのではないかと思い、部屋の扉をノックした。

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