猫が好き!


 返事はなく、扉を開けると灯りは消えていて、真純はベッドの上に半分身体を起こして、不機嫌そうに睨んでいた。

 用件を伝えると、本当はよからぬ事を企んでいたのではないかと勘繰られた。

 本来の目的はそうではない。
 しかし全く下心がなかったわけでもない。

 期待に応えようとすると、寝入り端を邪魔された真純は、すこぶるご機嫌斜めで、激しく拒絶された。

 その日以来真純は、寝る前に部屋に鍵をかけるようになった。

 自分で蒔いた種とはいえ、カノジョに警戒されているカレシってどうよ? と思わなくもない。

 理由を尋ねると、寝付きが悪いので睡眠の邪魔をされたたくないからだという。
 他意はないと。

 時間の管理に厳しい真純の事だから、多分本当なのだろう。

 クールな真純は、自分から甘えてくる事は、まずない。
 年上である事を主張する真純にとって、年下の進弥に甘える事は恥ずかしいのだろう。

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