猫が好き!


 夕方、夕食の支度をしていると、いつもよりハイテンションなシンヤの声が玄関に響いた。


「真純さん、ただいまーっ!」


 その勢いのままシンヤは、廊下をバタバタと走ってくる。
 大型犬のシンヤは足音もうるさい。

 床が抜ける! と注意するため台所から出てきたところを、いきなり抱きしめられた。

 興奮したように、シンヤが言う。


「桜! 桜咲いてたよ! 週末にお花見に行こうよ」


 嬉しそうな声に、言おうとしていた文句も不機嫌も、一気に吹き飛んだ。

 やっぱりシンヤの笑顔と温もりは、心を落ち着かせる効果がある。
 自然に頬が緩む。


「うん。行こう」


 真純は答えて、シンヤを抱きしめ返した。

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