猫が好き!


 少し待ってみたが、ダッシュはそれ以降書き込んでこなかった。
 立ち去ってしまったようだ。
 更新ボタンを押したが記事は残されたままになっている。

 二人がいなくなった事を見計らったかのように、外野たちはまた騒ぎ始めた。

 進弥は念のためもう一度記事のファイルをコピーし、ブラウザを閉じた。

 まさかいきなり本人と接触するとは思わなかったが、予想外の収穫はあった。

 あいつがハルコに仕込んだウイルスは、情報を抜き取ったり外部にバラまいたりする類のものではないようだ。

 おそらくハルコの自律思考エンジンを停止させ、意のままに操るためのウイルス。

 朝になったら掲示板のファイルと共に、課長に報告する事にしよう。

 時計を見ると三時を回っていた。
 今日はもう、あいつも現れないだろう。
 あいつはハルコの様子を監視しているはずだ。

 今日の調査は終わりにして寝る事にする。
 ふと、真純の小さな後ろ姿を思い出した。

 多分今から真純の部屋に行くと、眠りを妨げてしまうだろう。
 怒られるかもしれない。

 それでも、自分が確かに側にいる事を知らせてあげたくて、進弥は真純の部屋へ向かった。

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