猫が好き!


 何が気になっているのかは分かっている。

 瑞希の命令とはいえ、シンヤが再び違法な事に手を染め、それが万が一にも発覚してしまえば、またここからいなくなるからだ。

 シンヤは絶対どこにも行かないと宣言した。
 きっと真純がかかえている不安を見透かされてしまったのだろう。

 シンヤが自分でいなくなる事はない。
 それは信じている。
 けれどシンヤの意思に関係なく、連れて行かれたら——。

 ゾクリと背筋がざわめく。
 真純はひとつ身震いをして上着を羽織った。
 シンヤの頭をそっと撫でる。
 相変わらずシンヤは、起きる気配がない。

 真純は少し微笑んで立ち上がり、部屋を出た。

< 269 / 354 >

この作品をシェア

pagetop