猫が好き!


 真純がいつも通りに朝食を終えても、シンヤは起きてこなかった。
 朝食はいらないと言われたが、起きた時何もなかったら寂しいだろうと思い、食卓の上におにぎりを作って置いた。

 シンヤを残したまま、真純はいつものように辺奈商事へ向かった。

 今日は七階の情報システム部まで上がってくるように言われている。
 二階のカフェは、一般人や他部署の人たちもいる。
 うっかりハルコやシンヤの極秘任務の事を話して、外部に漏れてはまずいからだろう。

 七階に上がり受付の呼び鈴を押そうとした時、左手の扉が内側から開き、高木が顔を出した。

 瑞希に用なのかと訊かれ頷くと、戸口から大声で呼んでくれた。
 外に出てきた高木は、ニコニコ笑いながら話しかけてきた。


「いいですね。自宅に恋人と二人きりで、イチャイチャ仕事ができるなんて。オレも早く彼女欲しいな」


 高木に悪びれた様子はない。
 調子のいいこいつの事だから、本気でうらやましがっているのだろう。
 だが、高木の言うような浮ついたものではないし、口外してはいけないので適当にごまかす。

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