猫が好き!


 目が覚めると目の前にパジャマ姿のシンヤが横たわり笑っていた。


「おはよ。案外早く起きたね。まだ雪残ってると思うよ」


 いつ寝たのか覚えていない。
 なんだかデジャヴを覚える。
 以前もこんな事があった。

 ただあの時と違って泥酔するほど飲んではいないし、ベッドに入った記憶はある。
 連れ込まれたというのが正しいが。
 あの時のようにパジャマを着ているのも不思議だった。

 黙り込む真純を気にした風でもなく、シンヤは言葉を続ける。


「一年分には全然足りないのに、真純さん途中で力尽きちゃったから、案外早く寝たしね。風邪引いたらやばいから、上衣だけ着せといたよ」


 どうりで下半身がスースーすると思ったら。

 ふと左手に違和感を覚えて、布団から引っ張り出す。
 目の前にかざした薬指には、イチゴミルク色の石がついた銀色の指輪がはまっていた。

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