猫が好き!


 その時点でダッシュはまだ捕まっていなかった。
 ダッシュが捕まったのは、夜になってハルコから閉め出されたのを本人が気付いた後だった。

 結局ハルコに付き合わせ処理をさせている途中にダッシュが捕まったので、本人からウィルスのプログラム名を確認し、駆除することができた。

 その後、学習用記憶領域のロックを全て解除したので、ハルコは元の記憶を取り戻したはずだ。


「ただ、最後のコードメッセージを送った事は覚えてないかもしれないね。あの時は多分、記憶を全て封じられる直前だったから」


 自分の行動を記憶している余裕はなかったかもしれない。


「そっか……。でも元通りになったならよかった」
「そうだね。オレの事も忘れちゃったら、なんか寂しいし」
「え?」


 真純がかすかに眉を寄せて、進弥を見つめる。
 ほんのわずかに漂う嫉妬の色に思わず嬉しくなって、進弥は再び真純を抱きしめた。

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