猫が好き!


 間近に迫った吐息から逃れるように、顔を背けて真純はわめいた。


「私の気持ちはどうなの?!」


 シンヤはピタリと動きを止める。
 恐る恐るその顔に視線を向ける。
 目が合うと、シンヤはイタズラっぽく笑った。


「知ってるよ。僕の事、好きだよね?」
「う……」


 何を根拠にそう決めつけているのか分からない。
 自分で言っておきながら自分の気持ちが分からず、真純は絶句する。

 嫌いではないと思う。
 けれど好きかと問われれば、どうなのか分からない。

 確かに抱きしめられるとドキドキする。
 現に今もドキドキしている。
 だからといって、これが恋愛感情によるものだとは限らないと思う。

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