猫が好き!


 自信満々に人の気持ちを決めつけるシンヤに苛つく。

 真純は木べらを持った手をシンヤの背中に回し、手首を返して後頭部をパコンと叩いた。


「自惚れるな」
「いてっ!」


 シンヤは腕をほどき、両手で後頭部を抱えるようにして俯いた。


「マジいてぇ。頭痛が三割り増しになった」
「自業自得」


 いいながら真純は、拾った鍋を木べらでガンガンかき鳴らす。
 シンヤはたまらないといった表情で、両手で耳を塞ぎ、顔をしかめた。


「お願い……それ、やめて」


 真純は手を止める。

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