猫が好き!


「わざわざ上がってきてもらってごめんね。下じゃちょっと話せないから」


 そう言って真純を右手の応接室に促した。
 真純は瑞希と一緒に応接室に入る。

 まずはいつものように書類を交換していると、先ほど応対に出た女性が、コーヒーを運んできた。

 彼女が立ち去るのを待って、真純は切り出した。


「下で話せない事って何?」
「昨日話したハルコの挙動不審について調べてみたのよ」


 瑞希はコーヒーを一口すすって、話し始めた。

 少し前から辺奈商事では、ハルコを使ったコンピュータセキュリティ事業を展開しているという。

 契約した会社のサーバを不正アクセスやウィルスの侵入から、ハルコが監視し守るというものらしい。

 セキュリティ事業は瑞希の管轄ではなく、業務状況にはノータッチだったようだ。

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