海の花は雪

〈山形さん→深谷君〉       「冒険前日…ハルが思い出さない理由って」

「…誰ですか?目覚まし止めたの…」

「ぎゃーー」

「〜ん…ごめ…ん…僕かも…」

「わーー」

「山形さんですか…」

「急いで深谷君、ちこく・ちこく・ちこくー!」

先ほどから楽しんでいるんだか、あわててるんだか分からない叫び声を発して、ハルがバタバタと動き回っている…

その手にはジョーロが握られており、たくさんの草木花に水をあげつつ、器用に朝食の用意をしている…

朝のまぶしい光が、まぶしい…

ノロノロと着替えをすませ、顔を洗ってリビングへ行くと、すかさずラップで包まれたサンドイッチが手渡された。

サンドイッチをボンヤリ見ると、中身は照り焼きチキンと玉ねぎとレタスだ…

どうもまだ、頭の回転が悪いらしい…

あ…玉ねぎ…覚えててくれたんだ…などと、全く関係ない事を思っていると、今度はスクールバックが手渡された。
< 235 / 369 >

この作品をシェア

pagetop