海の花は雪
「夏休みは基本、練習しないですよ〜?」

「何で?」

「…暑いから…」

深谷少年が、ボソッと答えた。

「うわ〜説得力あるわ〜」

「ははは…うちの部も見に来て下さいよ、山形さん」

「もちろん」

「すごいですよ、ジャズ部は〜女子のファンが多くて…ホストクラブ集団とか、教員の間では言われていましてね〜」

戸川先生が、面白い教員情報を教えてくれた。

「へ〜ますます楽しみだな〜」

「…」

深谷少年が黙って、ハル君の事を見上げている…

それに気づいたハル君は…

「え〜っと、ホストは違うからね?女子部員もいるし…」

「…約束だから、見に行くよ…」

そのセリフに、ハル君は嬉しそうに笑うと…

「待ってるよ」

と言った…何だかな〜二人の世界だな〜

「おや…戸川先生、高田さんのお手伝いですか?」

向こうから歩いて来た、高田さんよりも年上そうな紳士が、ニコニコしながら話かけてきた。
< 257 / 369 >

この作品をシェア

pagetop