海の花は雪
ハルの家を出る時、時計を見たら6時半を回っていた。

暗くなりはじめた夕暮れの中を、ハルの自転車の後ろに乗せてもらい送ってもらうと、うちの前で降ろしてもらった。

「本当にいいの?大丈夫?お母さんに、オレが説明しようか?適当にだけど」

「大丈夫…ありがとう、ハル」

「いーや、こちらこそだよ。深谷君は命の恩人だからね」

またあの笑顔で、ハルが笑った。

「…こうへい君?帰ったの?」

玄関の向こうから、母さんが心配そうに出て来た。

「じゃあ深谷君、今日はどーもな!また明日学校で」

ヒラリと自転車に飛び乗ると、ハルは夕闇の中を帰って行った。

…また明日…?え?

そのセリフが、頭の中でくりかえされる…

「お帰りなさい、遅かったわね?電話してくれれば良かっのに」

「ただいま…大丈夫だよ、先ぱいが送ってくれた…」

「あら、そうなの?お礼を言っておいてね、明日も行くんでしょ?」

「…うん…」
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