海の花は雪
目の前が明るい光で、おおわれた。

一瞬、液体の中を泳ぐような抵抗を感じたけど、足はすぐに堅い床の上に着いていた…が、目に飛び込んできたのは、信じられない光景だった…!

「あーあ…来ちゃったか…仕方ないなー君、大丈夫?」

自分が扉を通ろうとした時に、聞こえた声の主が、こちらを見上げて立っていた。

自分は知らない建物の中の少し高い所に立っていて、見下ろす感じで、その人物を見た。

と言うよりも、その人物の後ろの光景にくぎ付けになった。

…天井まで総ガラス張りの窓から見えた世界…

そこは、色とりどりの魚達が泳ぎ回る青い楽園の世界だった…

「…ここは…どこ…?」

自分は少し前まで、図書館の書庫にいたはず…

唯一、目の前にいる人物だけが頼みのツナだった。

その人物は、あさぎ色のネクタイに紺色のズボン姿で、シャツを着くずし気味に着ている。

やけに見慣れた服装はうちの…
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