小さな私の中に
誰かとぶつかってしまった

足が寒くて震えていて
ガクンと転んでしまった

見えるのは地面

「おい、どうした!?」

耳に聞こえた声は低い声
うわー・・・男の人にぶつかっちゃった

私は恥ずかしくてすぐに
すみませんの一言を
声に出せなかった

なんとか体を起こして
彼を見た

坊主頭で爽やかな男の人が
目をまん丸にして私を見ている


「すみませ・・・ぶつかっちゃって・・・」


私は何とか立ち上がった
恥ずかしくて下を向いてしまった

「どっか痛いとこない?!」

「はい、大丈夫・・・です」


すると彼は下を向いてる私の顔を
覗き込んできた


転んだ時はわからなかったけど
身長が高くてびっくり

私は驚きのあまり「うわっ」と声を出してしまった

「うわって何だよ。ほっぺ真っ赤。寒いっしょ?」


ちょっと不機嫌そうな彼
怒らせちゃったかな。ごめんなさい!
心で何回もそう謝った

「大丈夫・・・です・・・」


本当は寒くて寒くて仕方ないんだよコノヤロー!
と、言いたいところだが
不機嫌そうな彼に抵抗はできなかった

「嘘つき。ほら」


彼は自分のマフラーを私の首に巻いてくれた
また驚いてしまって彼を見上げた

「お前髪短けぇんだから首んとこ温かくしないと風邪ひくぞ」

私を心配してくれる真剣な彼の面持ちが
ちょっと嬉しかった


「貴方の方が私より髪の毛短いじゃないですか!」


私がそう言うと彼は一瞬キョトンとして
私に初めて笑顔を見せた

「うっせーよ!(笑)じゃーな。もう転ぶなよ」

そう言って彼は私に背を向けて歩いて行ってしまった


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