海辺で恋するシンデレラ
ふと、教室のカーテンが風に吹かれたように動いた気がした。
窓は閉まっているはずなのに・・・
『海桜~。早くおいでよ~』
窓辺で、私を手招きする学生服をきた少女。
少し若いけれど。それは紛れもなく、亜紀さんで―――――――
――――っ・・・ぁ、痛っ・・ぅん・・―――――
「海桜?大丈夫?」
亜紀さんが声を掛けてくれるけど、その声は私には聞こえていなかった。
『海桜ぉ。お弁当食べよう』
『聞いて、聞いて。私、告られちゃった。』
『帰りに、駅前のカフェに行こう。あそこの、ショートケーキ凄く美味しいんだって。』
いろんな表情の、学生時代の亜紀さんが浮かんでは消え繰り返す。
あ、はぁ・・はぁ・・んっ――――
少しずつ、呼吸が楽になって来た。
「海桜?」
心配そうに、私の背中を擦りながら覗き込む亜紀さん。