デキちゃってない結婚
 真理子は噴水の近くのベンチに座ると空を見上げて溜め息をついた。空には星が一つだけ見えて寂しく思えたが輝いているぶんまだ私よりマシだと思った。

 虚しさでいっぱいの真理子はポケットからケータイを取り出そうとすると一冊の小さなノートが出て来た。それは美月と会うためのカンニングペーパーだった。内容は美月と会ったら緊張して何を話せばいいのか混乱してしまうであろうと、事前にノートに話す内容を書いておいたのだ。

 しかし一切使うこともなく、コートの中に入っていたノートを見て真理子は余計に虚しく感じてしまっていた。

 そんな中偶然にも真理子の近くをラーメン屋の酒井が通りかかった。酒井は真理子を見つけると嬉しそうに近づき後ろから肩を叩いた。

「真理子さん」

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