お姫様は王子様を演じてる
「上野っ!!
時間だぞ、起きんか!!」
折角寝たばかりなのに、怒鳴り声が頭の奥にガンガンと響く。
ゆっくりと瞼を開いて、霞みがかった視界が焦点を結び始めた時…最初に映しだされたのはしかめ面の兵藤だった。
「うわっ…」
驚いて体をのけ反らせる私を見て兵藤は軽く咳ばらいをしてから喋りだす。
「寝坊だ、上野!!
すぐに家を出ないと遅刻になるぞ!!」
「えっ…もうそんな時間ですか?」
「ああ、とっくにそんな時間になっている。
さっさと起きて学校に行くがいい!!」
「えっ、あっ、はい…」
寝ぼけ眼を擦りながら、急いで準備をしようと起き上がりクローゼットから制服を取り出す。
けど―――兵藤が部屋にいたら着替えられないんですけど…
「どうした…?着替えんのか?」
制服を持ったまま固まる私を不思議そうに兵藤は見つめる。
「あの、起こしてもらって申し訳ないんですが…
着替えたいので部屋を出てってもらえませんか?」
「男同士構わんだろう!!それとも何か俺がいたら着替えられない理由でもあるのか?」
ハッハッハッと笑いながら言った兵藤の言葉にドクンと大きく心臓が脈打ったのが分かった。