[短]恋ココロ



またはらりと涙が伝った。


「なんで、もっと早く言ってくれなかったの!?……私だけ好きかと思ってた………。」



憐はそんな私をどうしていいか分からないような顔で見ていた。


でも、




ふわっと憐の腕に閉じ込められたのがわかった。


暖かくて、力強くて………儚い。




「悪い。………今、考えるとすげえ心配駆けたと思う。」


「…っそうだよ。ばか!………私も」



今なら、言えるよね?



「あの日から憐しか見えていない。好きじゃないなんて嘘だよ。」



腕に顔をうずめて大きく息を吸い込んだ。


シトラスの爽やかな香りが切なく心の中で小さく疼く。



「……っ。」


「憐?」


「なんだよ。今、こっち向くな…」



ぶっきらぼうに言い放たれた言葉だったけど照れた笑みを含んでいた。



「顔、真っ赤だよ……?」



「…!うるせーよ。」


クスと笑った。


ずっとすれ違っていたんだね。



自分のことで一生懸命過ぎてお互い相手を思えなくなりかけた。


でも、もう信じられる。



憐は不器用なだけだった………。


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