私は貴方を殺さない
序章
あれ、蝉が鳴き始めたんだなーなんて考えていたときだった。

あっ…目の前を黒い子猫が通り過ぎた。

子猫が進む先は、大通り。

そして、元気にかけてゆく猫に薄黒い陰が纏わり付いてる。

咄嗟に声が出てしまった。

「だめえええええっ!!」

通行人の目が一斉にこちらを向く。

けれども、子猫に私の声は届かなかった。

子猫は車の流れる川へと飛び込んだ。


ブレーキ音は聞こえなかった。

歩道には、はじき飛ばされた子猫であっただろうものがいた。
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