Only You
 本当に……馬鹿な事で悩んでた。

 外見で判断する人に振り回されて、私は自分を大事にする事を忘れてた。
 綾人は最初から私の内面を見てくれていた。
 きっとエルとしてメールをくれる前から私の事は外見より行動とか言葉とかそういうのを見ていたに違いない。
 だから私が活けてる花の事なんかちゃんと覚えていてくれたんだ。

「悩みに馬鹿な事なんかないって。琴美にとっては深い悩みだったんだから……それは本当につらかったんだと思うよ。エルとして遠くでメールしか送れないのがもどかしい時もあったんだけど、少しは君の助けになってたかな」

 食器をシンクに戻してから、彼は椅子に座っていた私を後ろからそっと抱きしめた。
 その腕に手をかけて、私は相変わらずの泣き虫状態だった。

「うん。助けどころか……支えだったよ。今もそれは継続中。一緒に暮らしてたってあなたが発する言葉は全部エルだなって思うもの」

「良かった、僕もミサを助けるのは自分の喜びでもあるから……。これからもよろしく」


こんな会話の後、私達は静かな幸せの余韻に浸っていた。



いつまでもこんな穏やかな幸せが続きますように。
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