迷える狼 VS 迷える子羊

「ちょっとごめんな?」

男の人の声がしたかと思うとあっという間に抱きかかえられていた。
しかもお姫様抱っこ!?
思わず視線を上に上げると、私を抱きかかえた張本人。
あ!目つきが怖い!!
・・・・ん?
こわ・・・くない?

切れ長の目だから怖そうに見えたけど、実はかなり顔・・・整ってる。
わっ!イケメンさんだ!!
私はこけたのを見られたプラス、他人プラス、男の人プラス、抱きかかえられている!!
状況に大パニック!

「あ・・・あの、あのあのあの・・あの私・・大丈夫なので降ろしてください。」

今にも火が出そうな顔でようやく小声で言うと

「あ、ごめん。俺作業着だから汚ねぇし、タオルで包んだから抱えても大丈夫かと思ったけどやっぱり嫌だったよな?ごめんな?」

慌てた様子で急いで降ろしてくれた。

あ・・さっきふわっとしたのはタオルだったのかぁ~・・。
間抜けな顔でそんなことを思っていると

「本当に怪我とかない?」
イケメンさんがまだ心配顔で聞いてきたので。

「だいじょうぶ・・・です」

また小声で返した。
ってそれより、さっきごめんって何もイケメンさんは悪くないのに私ったらかなり感じ悪い。
分かってはいるもののなかなか声が出ず、下ばかり向いている私にイケメンさんは

「大丈夫ならいいけど・・・じゃ、そのタオル返さなくてもいいから使って行きな?
スカートも濡れてるし。風邪引かないようにね。俺仕事戻るわ。気ぃつけて帰んなよ?」

笑顔でそう言ってイケメンさんはお仕事に戻って行ったにもかかわらず
私は「はい・・・」って誰もいない空間に答えた。

かっこよかったな、姿だけじゃなく、すんなり人に優しく出来る行動も態度も。
憧れるな。
あんな素敵な人に好きになってもらえるのはどんな人なのかなぁ・・・。

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