佳人な先生
けれど


こんな状況でも思い出すのは


瑞城先生・・・



私は芹沢さんの胸の中で

話し始めた。



「クラブのときに
 私が高い棚にあるものが
 取りたくて、
 すぐ横の低い棚に椅子を
 使って乗ったんです。
 そしたらその拍子に
 椅子が倒れちゃって
 私、棚の上に取り残されて
 しまって・・・。
 
 瑞城先生が助けてくれました。

 怖くてしばらく震えていた
 私をずっと抱きしめて
 いてくれました。
 他の先生もいたのに
 気にすることもなく・・・。」



「優しくしてはいけないと
 キツイ言葉をあびせて
 しまった。
 そして彼女を受け止めて
 みたら震えていた。
 本当はすぐに離さないと
 いけないと分かっているのに、
 離すことができなかった。」



「え?」



思わず芹沢さんの腕の中で

芹沢さんの顔を見上げた。



芹沢さんは優しく微笑んで

私を見下ろしていた。




「兄がそう言っていました。
 あなたにはあなたからの
 視点の兄の話しがあるように
 兄にも兄の視点の
 あなたがいました。」



「・・・私、
 瑞城先生が私を
 どう見ていたのか
 もっと知りたいです・・。」



「うん。
 これからもゆっくり
 話していきましょう。」



「はい・・・。」



そうして

私たちの関係は

そのまま継続することになった。
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