龍太郎一味のご無体な学園生活
…そんな大袈裟な見出しで告知する、次期生徒会長選挙のポスター。

剥がれかかったそれを。

「……」

無言のまま丁寧に貼り直す男子生徒が一人。

天神学園高等部2年の、ユーリー・カルサヴィナ。

金髪に水晶のような美しい青い目をしたロシア系美青年。

右手に箒、左手に塵取りを持った彼もまた、今回の次期生徒会長選挙に立候補した一人である。

現在の彼の役職は生徒会掃除係。

生徒会の性質上、公には出来ない難事を秘密裏に処理(掃除)する事が掃除係の仕事であり、生徒会役員でも掃除係の存在を知る者は少ない。

どんな過激な仕事内容でも表情一つ変えず冷徹に実行するユーリーはこの上ない程の適任者だと言われている。

しかし、これまでは大概の難事が月のジェノサイドで解決してしまった為、掃除係であるユーリーの仕事はクリスマステロの後片付け、結婚式の後始末等本当にただの掃除係になっている。

中でもクリスマステロ後、龍娘としまじろうの結婚式が開催されるまでの数日間でちらかった体育館を片付け、飾り付けを小岩井、かなこと三人のみで終わらせたのは偏に彼の尽力による所が大きく、一部では『伝説の模様替え』と語られている。

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