【完結】キスからはじまる恋。
「……斎藤」
「……なんだよ」
「佳奈に会った」
「…………」
教室に戻りそう言うと、斎藤はシャーペンを動かす手を止めた。
そして少しして、また動かし始めた。
「……驚かないのか」
「……佐倉にキスしたあの日、それを聞いた」
「っ……!」
「……おまえ、なにも知らなかったのか?」
「……………」
「佐倉がオレに、佳奈って誰って聞いてきた。だから話したよ。おまえの元カノだって」
「……斎藤、おまえ」
「もちろん。オレの幼なじみだってことも話した。……佳奈のこと、好きだったってことも」
そう言った斎藤の表情は、なにも変わらなかった。
ノートに視線を向け、ただ見つめている。