不遜な蜜月
苛立ちを抑えるように、理人はグラスの中身を飲み干す。
「・・・・・・帰る」
「もう? 久しぶりなのに」
不満げな美紗の手が、理人の手に触れる瞬間、席を立った。
「つまらないわね。いいわ、私も帰るから」
バッグを無造作に掴み、美紗も席を立つ。
「また連絡するわ。その時は、ちゃんと私の相手、してよね?」
店を出ると、理人の迎えが恭しく車のドアを開けた。
美紗は軽く手を振り、自分の迎えの車へと歩いていく。
「自宅まで頼む」
「かしこまりました」
運転手は、静かに車を走り出させる。
窓から見える景色が、次々と移り変わる。
時計を見て、ふと真緒を思い出す。
さすがに、もう帰っているだろう。
(もう一度、結婚を申し込むにしても・・・・・・)
今の彼女では、答えなど考えずともわかる。
彼女に結婚を受け入れさせるためには―――。
「・・・・・・面倒だな」