不遜な蜜月
誠は緊張したように名乗る。
「そうか。すまないな、迷惑をかけて」
「あ、いえ・・・・・・」
誠はこの状況に唖然としながら、理人を見送る。
「香坂さん、社長と知り合い・・・・・・?」
疑問ばかりが頭に残る。
けれど、追いかけて聞くわけにはいかない。
「一ノ瀬! 得意先から電話があったぞ」
「あ、はい!」
真緒と理人を気にしつつも、誠は仕事に戻った。
眠ってしまったのか、真緒は理人の膝を枕代わりに小さな寝息を漏らす。
一臣から指摘され、理人はエントランスから外には出なかった。
心配し過ぎだと思ったが、見られて妙な噂が出回るのは避けたい。
「社長、どちらへ?」
「俺のマンションだ。とりあえず、必要だと思うものを買ってきてくれ」
理人の部屋には、病人を看病するための物はない。
「わかりました。香坂さんの早退については、私が連絡しておきます」