不遜な蜜月

「一本じゃ足りないわね」


この調子で飲みつづけたら、一本なんて軽く飲み終えてしまう。

美紗はグラスを満たすシャンパンを見つめ、ため息を漏らす。

大好きなシャンパンなのに、今夜はなんだか、味気無い気がする。

本当に、嫌な気分だ―――。










―――・・・・・・。

「真緒、お客さん」


いつも通りの会社、お腹も満たされた午後のこと。

彩子に呼ばれ振り向けば、最早見慣れた顔が。


「こんにちは。あの、何か・・・・・・?」

「お仕事中に申し訳ありませんが、社長室まで来ていただけますか?」


一臣は相変わらず、淡々とした様子。


「えっと、少しなら」


彩子に目配せすれば、ヒラヒラと手を振り、笑顔を返してくれた。


「では、こちらへ」


一臣の後に続き、真緒は社長室へと向かった。


< 197 / 355 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop