不遜な蜜月
「一本じゃ足りないわね」
この調子で飲みつづけたら、一本なんて軽く飲み終えてしまう。
美紗はグラスを満たすシャンパンを見つめ、ため息を漏らす。
大好きなシャンパンなのに、今夜はなんだか、味気無い気がする。
本当に、嫌な気分だ―――。
―――・・・・・・。
「真緒、お客さん」
いつも通りの会社、お腹も満たされた午後のこと。
彩子に呼ばれ振り向けば、最早見慣れた顔が。
「こんにちは。あの、何か・・・・・・?」
「お仕事中に申し訳ありませんが、社長室まで来ていただけますか?」
一臣は相変わらず、淡々とした様子。
「えっと、少しなら」
彩子に目配せすれば、ヒラヒラと手を振り、笑顔を返してくれた。
「では、こちらへ」
一臣の後に続き、真緒は社長室へと向かった。