野獣な執事とワンコお嬢様
プライベートでのヒョウは、絶対ニコニコなんかしない。



ムカついたら殴る、悪態をつく。



執事になったヒョウは、とにかく笑顔を崩さない。



そりゃあもう、恐ろしいほどの笑み…。



車に乗ったら、隣にはヒョウ。



あたしのカバンを持ち、こっちを見てニッコリ微笑む。



「きょ、今日のご飯は…なにかな…」

「本日は肉じゃがだそうですよ。龍蔵様のリクエストです」

「へぇ…」

「食べますよね?ニンジンも」

「ヤダよぉ…」

「大丈夫です。ニンジンは、カワイらしくハートの形にしてもらいますので」



ぜんっぜん大丈夫じゃないんですけど!!



形の問題じゃなく、色と匂いと味がイヤなのに…。



「ニンジン抜いてもらえない…?」

「あははっ、聞こえませんでした」

「ニンジン、嫌いなのっ!!」

「ほぅ…」

「な、なに…?」

「では、もったいないのでお嬢様の食べ残しはわたくしがいただきますね。それでいいなら、どうぞ残してください」

「すみませんでした、絶対イヤです」

「左様でございますか」



恐ろしい執事…。



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