野獣な執事とワンコお嬢様
【ヒョウ】



平日の朝、いつも通り、琴音を起こしにやってきた。



寝顔をのぞき込むと、顔色が悪くて息が荒い。



また体調を崩したのか…。



雪乃さんに会いに行った次の日あたりから食欲はなかったけど。



咳もしてたから、きっと風邪。



「お嬢様、朝です。起きられますか?」

「やっ……」

「熱を計らせていただきます」



計った熱は39度5分…。



いつもの風邪にしてはちょっと高すぎる。



「お医者様を呼びますね」

「ヒョウっ…」

「はい?」

「あたし…死んじゃう…」

「それだけは勘弁願います。電話をかけてきますので、横になっててください」

「行か…ないで…」



仕方なく、ケータイで電話をかけて医者を呼んだ。



昔から体の弱い琴音の主治医。



まだ40代で、腕がいいと評判の医者らしい。



すると、ノックが聞こえて珍しい人が琴音の部屋へやってきた。



「入るぞ~」

「タマキさん…」

「朝飯の時間なのにこねぇから」

「お嬢様が体調を崩されたようで、そばに…」



本当に体が弱い…。



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