野獣な執事とワンコお嬢様
龍馬様、よく日本に帰したな…。



「旦那様が奥様を裏切るなんて、天地がひっくり返ってもあり得ない」

「わかってます。美琴様に対する龍馬様のお気持ちは」

「奥様が16歳という若さで有栖川家に嫁いだこと、旦那様はその責任の重さをわかっている」



あっちにいた時、ふたりの関係をずっと見ていたからわかる。



龍馬様は美琴様を裏切るようなことは絶対しない。



いつも優しくて、美琴様のワガママなんかはできるだけ受け入れていた。



「しかし、あの龍馬様が家出を許すとは…」

「頭を冷やせと言っていた。仕事が忙しくて、構ってやれないみたいだしな。そのうち迎えに来る」



ならいいけど…。



できるだけ早く迎えに来てもらわなきゃ。



彼女をおとなしくさせられるのは彼しかいない気がするから。



「こんな時になんですが、雪乃さんが引っ越して来るのですが…」

「わかってる。坊ちゃんのためには、それがいちばんいいってことも」

「慌ただしくなりますね」

「そうだな」



ふたりでため息をつき、仕事開始。



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