野獣な執事とワンコお嬢様
だけど彼女は泣いてる琴音にこう言った。



『何で泣いてるかわかんないから泣きやんでよぉ~…。どっか痛いの?』



その時、美琴様という人間がどんなにズレているかを知った気がする。



相変わらずなんだろうな…。



「青柳~、ワインちょうだい。龍蔵と飲む~」



自由すぎて何も言えねぇ。



頭が痛くなる問題だ。



「琴ちゃ~ん、明日水族館行かない?」

「明日も学校だよ、ママ…」

「えぇぇぇ~…、つまんない」

「文化祭の後かたづけがあるからダメなの」

「むぅ~…。なんかしてないとパパのこと考えちゃうじゃん…」

「よく考えたらいいよ…。パパも寂しがってるかもよ?」

「あのキャリア女といるかも…」



ありえないって…。



頼むから早く迎えに来てくれよ。



その夜、龍馬様から電話が来た。



「面倒をかけてすまないね、ヒョウ」

「いえ、大丈夫です」

「タマキにもアゲハにも見張っとくように言ってもらえるかい?青柳だけじゃ、さらにワガママ放題になりそうだ」



納得だ。



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