野獣な執事とワンコお嬢様
映画に行きたいと言ったら、先輩はイヤな顔せずに連れてきてくれた。



なんだかよくわからないけど、ソファーみたいな広い席。



「はい、アイスティー」

「ありがとうございます。先輩、なんでこの列だけ、広い席なんですか?」

「カップルシートだから」

「カップル!?」

「楽っしょ?」



かかかか、カップルって…ラブラブなお付き合いをしてる方が座る場所では!?



なんか…選択を間違った気がする。



先輩が近い。



暗くなり、始まった映画はおもしろい。



原作を読んでいて、見たいと思ってた、ファンタジー。



夢いっぱいだ…。



「琴音」

「はいっ!?」

「って、呼んでいいよね?」

「あっ、どうぞ」

「ははっ、あっさり!!ところで、俺の名前は知ってんの?」

「北川先輩」

「亮太なんですけど」



知らなかった。



ってか、映画に集中したいんですけど…。



今いいとこなんで話しかけないでほしいんですけど…。



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