野獣な執事とワンコお嬢様
先輩はカッコイイし、今日一緒にいた限りでは優しい人。



いつも女の子に囲まれてて、笑ってる顔しか見たことがない。



きっと、顔はあたしのタイプだろうな…。



「本気になりそう…」

「あのっ…」

「あ゛ぁぁぁ~…、ちょっとだけ抱きしめさせて…」



ギュッと抱きしめられた体。



デートって、ドキドキするんだと思ってた。



こんなふうに抱きしめられたら、きゅんってなるんじゃないかって。



「離して…ください…」

「ごめん、返事は夏休み前くらいでいいから。俺で悩んで、ちゃんと考えといてよ」

「わかりました…」



初めてだ。



返事を保留にしたのは…。



だけど…あたしが求めていたものと違う。



なんでかよくわからないけど、違う気がした。



帰りは送ると言われたけど、家を知られるのがイヤで断った。



歩いて帰ろうと思った時、隣に止まった1台の車。



「よぉ、奇遇だな」

「タマキさん!!」

「乗ってけ」

「なんでこんなとこに!?」

「龍蔵の頼まれごと」



なんだかホッとした。



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