野獣な執事とワンコお嬢様
胸が苦しい…。



抱きしめたい…。



「いつ寝たんだろ…。お水、まだ冷たい?」

「ん…」

「よかった」



ニコッと笑う琴音の顔がまともに見れない。



いつもは平気なはずなのに…。



なぜか、平常心が保てない…。



「あのね、昨日のことなんだけど」

「聞きたくねぇから」

「なんで?気にしてたじゃん」



付き合ったとか言われたら、俺はきっと執事をやめる。



お前のそばに、いれなくなりそうだ。



「俺がお前のことなんか気にするわけねぇだろ」

「でもいいや。言いたいだけだから」

「聞かねぇって…」

「ドキドキ、しなかったの。きゅんって、なんなかった」

「は…?」

「告られたけど、やっぱり好きになれない気がする。なんかね、違うの」

「何が違うわけ…」

「抱きしめられても、ヒョウみたいにドキドキしない。だからすぐ、離してもらった」



えっ…?



俺でドキドキすんのか?



それって…。



俺のこと…。



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