野獣な執事とワンコお嬢様
他にも条件はたくさん出され、勉強の他に、強くなる努力も惜しまなかった。



日本に戻れば、琴音がすんなり手に入ると思っていたから…。



『息子の執事のタマキに、お前の働きは報告してもらう。アイツは抜け目のない男だから、ヒョウが不振な行動をとれば、すぐにわかる』

『わかりました』

『大事な娘だ。あまり泣かせないでくれよ?』

『その条件だけは飲めません』



これが、俺がここに来た経緯。



自分から気持ちを伝えられないことが、こんなに苦しいなんて…。



早く俺を好きになれ、琴音…。



「んっ、ヒョウ…?起きたの?」

「こんなところで、なにをなさってるのです?」

「今日はお休みなんだから、いつものヒョウでいいよ…」

「そうか…そうだったな…」



起き上がり、枕元にあった水を手にした。



冷たい…。



まさか琴音が…?



「いつからいたんだ?」

「ん~、ずっと」

「は?」

「ヒョウが心配だなぁ~って思ったら、いても立ってもいられなくなったから看病しに来たの」



ずっとって…。



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